■過去→今→未来
「海馬、今日の昼は何してたんだ?」
「仕事に決まっているだろう」
仕事が終わる頃を見計らって会いに行くと、案の定眉間に皺を寄せてきたが、軽く受け流し笑顔で接する。
会社から自宅へ移動しスーツを脱ぐ海馬を見ながら遠慮なくソファへと腰掛けた。
「空は見たか?今日の空は秋の空だった」
雲の形に違和感を覚えて相棒に話しかけると、あれは秋によく見られる雲なのだと教えてくれた。
これから、新しい季節に流れていくことを思うとワクワクする。そして、海馬はそんなことではワクワクしない事を理解している。
「それがどうした」
帰ってくるのはやっぱりそっけない返事。
「新しい発見、知らないものを知るというのは少なからずワクワクすると思わないか?」
曖昧な過去、曖昧な記憶。はっきりとした事実は妙に新鮮で心が躍った。少し前までは。
最近、曖昧な過去が少しずつ形を見せ始めると・・・途端に不安が過ぎる。
「くだらん。俺をワクワクという言葉で表せる状態にしたいのならば・・・わかっているだろう?」
軽装になった海馬。手にはご自慢のデッキ。不敵な笑み。
「ああ・・・勝負だ、海馬」
どんな過去であっても、最高の今を。
どんな未来であっても、最高の今を。
「「決闘!」」
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