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■繋がりし過去、想いよ届け

それはやけに眩しい印象の残る、薄ぼんやりとした夢だった。
そこが外だったのか、建物の中だったのか・・・もしくは実現しない亜空間だったのか。それすらもわからない霞んだヴィジョン。
蜃気楼のように現れた人影は、かろうじて女性だとわかるようなもので、顔などははっきりわからない。

だが、女の声と言葉だけは、しっかりと焼きついている。


『再び貴方に会えて初めて迎える感謝を捧げる日・・・どうか、一度だけでも・・・祝福の気持ちを捧げたい・・・──』


女は光に溶けて消えていった。
その時・・・微かに見えたのは心を惹きつける青い二つの小さな意思・・・





「・・・・・・・・・」


もう日付が変わろうかとしている時刻、必要最低限の物しか置かれていない社長室に入り込んだ風が、カーテンを揺らす音ではっとなった。どうやら眠っていたらしい。
秋と冬が交じり合い気温も安定しないこの時期に吹く風は、窓を閉めてさえぎってもその存在感を消すことなく留まった。

・・・そもそも、窓など開けただろうか。

カーテンを閉めなおしふと考える。そして頭に響いてきた聞き覚えるある声。先に見た夢がリピートされて脳内を流れる。
曖昧すぎる映像とは裏腹に、その声はまるで知っている声かのように容易に思い出すことができる。

ただの夢・・・そう片付けてしまうのも簡単なはずだった。それができないのは何故だろうか・・・

目を伏せ思考を廻らせようとした時、内線電話の呼び出し音が静かな部屋に鳴り響く。


「何事だ」

『大変です!ソリッドビジョンシステムに異常が・・・』

「何・・・?」


電話越しに言われるよりも実際に見たほうが早い・・・内線を切るとすぐさま現場へと向かう。

こんな非常事態だというのに・・・頭を支配するのはあの声。
何故か心が安らぐその声で・・・・・・先の夢には登場しない言葉までが頭をよぎった。

この声の主を・・・知っている・・・??

そして、何よりも。最後に見せたあの青い二つの・・・・・・・



 ── セト様・・・・



「!!」

暴走現場まで来て足を止める。周りの社員がコンピューターが命令を無視して勝手な行動を取っていると説明してくるが・・・そんなことはどうでもよかった。


「青眼・・・」


呟くとソリッドビジョンによって出現していた青眼の白龍は応えるように力強く鳴いてみせる。
この眼だ。この眼こそ夢にみた二つの青。


「呼んでいたのはお前か・・・」

『再び貴方に会えて初めて迎える感謝を捧げる日・・・どうか、一度だけでも・・・祝福の気持ちを捧げたい・・・──』


夢で聴いた言葉が心に響いてくる。


『この日がなければ私は貴方と出会うことが出来なかった・・・どうしても、一言だけ・・・』


ただのソリッドビジョン・・・しかも口を開いてしゃべっているわけではない。
だが・・・確かに、それは青眼が発している言葉だった。


『現世で再びお会い出来たことの喜びを込めて・・・お誕生日、おめでとうございます、セト様』


「!キサ・・・・っ」


青眼の見た目は変わらない。だが、確かに微笑んで、そして消えていった。


「ソリッドビジョンシステム・・・・正常に起動しはじめました・・・」


信じられない、という表情で管理していた社員は呟く。
ふと時計を見る・・・日付が変わっていた。10月25日・・・


「・・・前世だの現世だの・・・世迷言など耳にも入れたくはないが・・・」

『貴方らしいですね・・・』

「!」


くすりと笑われた気がして振り返るが、そこには社員数名しかいるはずもない。

・・・なるほど・・・そこまで付き纏うのならば今日だけはその世迷言に付き合ってやろう。そんな日があってもまあ、いい。


『光栄です』

また、微笑みが見えた気がした。
こんなオカルトめいた現象普段ならば御免蒙るが・・・今日だけならば、悪くは無い。






再びお前に出会えたこと、感謝しよう・・・・キサラ。



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