seepking indexへ text blog off link このぶつかり合い…格別だ!
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■G

ルグニカ紅テングダケを探し、道と呼べるかすら危うい道を、モンスターをなぎ倒しながら進みつづける。
幾度と無く危険な状況に陥ってきたこのメンバーとしては、ここのモンスター程度で苦戦を強いられるようなことはないはず・・・なのだが。
その証拠に、小さな悲鳴が聞こえたのは非戦闘であった。
「きゃああ~!!」
「どわぁぁぁ!!!!!」
「どうかしたの?アニス」
聞こえた悲鳴は二つだが、後者は女である前者が咄嗟に飛びついてきたための悲鳴であり、なんら問題がないと察したティアは、最初に悲鳴を上げたアニスに声をかける。
そのアニスはきょろきょろと辺りを見まわしながら怯えたような表情で言う。
「い、いいいい今・・・見間違いだって信じたいけど・・・ほんとだったらマジヤバなものが見えて・・・」
「マジヤバなもの・・・?なんですの?モンスターなら見当たらないようですけど・・・」
「そんな生易しいものじゃないのー!もっと禍禍しいやつ!!」
アニスの視線を真似て辺りを確認するナタリアに、アニスはオーバーリアクションで否定する。
「一体なんなの・・・・?」
「口にするのも恐ろしいんだからー察してよぉ~!黒くて小さくで素早くてホイホイに引っ掛かるやつだよぉー!!」
その、もうほとんど名前を呼んだも同然の言葉に、一同はアニスが見たものを頭に浮かべた。
ビクゥッ!!
今まで一度も口を開かなかったアッシュが体を硬直させる。
皆の視線はアニスに向いている。そんなアッシュに気がついた人はいない。
・・・と、思いたかったがそんな状況を見逃すわけも無い眼鏡の奥に光る赤い瞳。
「おや、アッシュ。どうかしましたかぁー?」
「な、何がだ・・・」
ぎこちなく振り返ると、ジェイドの声に反応した他のメンバーまでがこちらに視線を注いでいた。
アッシュの挙動不審な態度を目にしたガイは、ふと思い出して口にする。
「ああ・・・そういえばお前、昔から苦手だったよな。ゴ・・・」
「その単語を口にするな屑がぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
まったく余裕のない表情でアッシュはガイに本気同然で切りかかってきた。
「どわ・・・っ!なにもそんな本気になることないだろう・・・」
「へぇー、アッシュって、そうなんだぁー」
「何だか意外ね・・・」
「これはこれは面白いですねぇ」
新事実を知った3人はまじまじとアッシュの方を見る。
視線に押されて思わず後ずさりをしてしまった。
「う・・・ぐ・・・ど、どうでもいいだろうそんなこと!それよりルグニカ紅テングダケを見つけるのが先だ!!!!」
いくぞ!と無理矢理この話題を終わらせようとしたアッシュだが、当分このネタでからかわれること間違い無いだろう。
「アッシュ・・・あの生物なら昔のように私が片っ端から射貫いてさしあげますのに・・・」
やりとりを見ていたナタリアは、昔を思い出して小さくため息をつくのだった。




「皆遅ぇなー・・・」
「ご主人様ご主人様大変ですの!!!さっきそっちの方に黒くて早い虫を発見してしまったですの!」
「はぁ~?なんだ?チャバネか?そんな下等生物ほっとけよ」
「みゅぅ~・・・でも恐いですのー・・・」
「火を吐いて人語をしゃべる獣の方がよっぽど恐いっつーの」
食べ物の好き嫌いまで似通っているのに、こんな相違点があると知ったら、オリジナルはどんな顔をするだろうか・・・




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