seepking indexへ text blog off link このぶつかり合い…格別だ!
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■欲するもの

嫌だ。
嫌だと思う自分が嫌だ。こんなことで取り乱す自分が嫌だ。
何もかも嫌だ。いっそ感情なんてなければよかった。
行くな。言えない。
俺から離れるな。言えない。
言えない。言えるわけが無い。言って返ってくる反応が恐い。
何故恐い。嫌われるのが恐い。
違う。違う。
嫌われたくない。でももう遅い。
出会う前から嫌われていた。ずっと怨まれていた。
冷たい眼差しが脳裏で光り輝く。
時折見せるその眼差しと態度は普段が普段なだけにとても冷たい。
笑った顔が好きだ。どこを見て笑うのだろう。自分じゃない。
その先には自分にそっくりな顔のやつがいる。
何故。何故そんなやつに笑顔を見せるのだ。
あいつは俺だ。俺はあいつだ。
何が違うんだ。何故お前はあいつに笑顔を見せるんだ。
嫌われるのが恐い。違う。違う。
嫌われているのはわかってる。
わかっている。
わかっている・・・・でも・・・・・
何故あいつに笑顔を見せるんだ。
恨みの対象はこっちへしか向いていないのか。
あいつと俺は・・・まったく違うのか。
そばにいて欲しい。こっちを見て欲しい。
それだけでいいのに。多くは望まないのに。
それすらも叶わないのに。
何であんなやつがお前の笑顔を貰っているのだ。
嫌だ。自分が。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。





好きだと言えば笑って返してくれた。
その笑顔は大好きだ。大好きなんだ。
でも、その笑顔は俺だけのものじゃない。
仲間、友達、他人にすら見せるものなんだ。
俺のものじゃない。
俺だけの表情じゃない。
俺にしか見せない顔は無い。
俺は俺だけの特別なものが欲しい。
あいつに見せるのはあいつにしか見せない表情。
冷たくて、厳しくて、でも心底嫌ってるわけじゃない。
ずるい。
なんで、あいつは特別な表情を貰っているんだ。
ずるい。ずるい。ずるい。
俺のほうがそばにいる時間は長かった。
俺に優しく接してくれた。
俺に笑顔をくれた。でも特別じゃない。
ずっとずっと追いかけてきた。追いかけると立ち止まってくれた。
笑顔をくれた。
でもそれは俺だけの特権じゃない。
特別な何かが欲しい。
ずるい。
なんであいつは特別を手にしたんだ。
俺も、特別が欲しい。
ずるい。ずるい。ずるい。





「俺は、ガイが好きだ」
「・・・それがどうした。言う相手を間違えているぞ」
「何度も言った。好きだって。愛してるって」
「・・・・・・・」
「ガイも俺が好きだって。でも、それは違う。俺の好きとは違う」
「欲張りなことだな。そこまで言われてまだ足りないのか。・・・・・俺は・・・」
「俺は特別な何かが欲しい。お前は・・・それを持ってるんだよ」
「特別・・・?それがマイナスの感情でもいいと言うのか?」
「いいよ。嫌われても良い。俺がガイを愛してるんだ」
「・・・ふざけるな。嫌われたいと思う物好きなやつがどこにいる」
「お前は第三者と同レベルの愛情程度で満足できるのかよ。そんなもの俺はいらない」
「貴様は嫌われたことが無いからそんなことが言えるんだ」
「お前は、優しくされたいのか?まるで初対面の人間に向けるような笑顔で」
「・・・・・・・・嫌われるよりマシだ」
「欲がないんだな」
「ヘンな思考の持ち主に言われたくない」
「・・・・俺、ガイが好きだ」
「さっき聞いた」
「お前は、好きか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「言わないで伝わらないのと、言っても伝わらないとなると、どうすればいいんだろうな」
「・・・・・・くだらん」
「なぁ」
「なんだ」
「その他大勢並になら嫌われた方がいいけど・・・やっぱ、愛されたいんだ」
「・・・・・・・俺に言ってどうする」
「たぶん同じ考えだろうと思ってさ」
「・・・・・勝手に決めるな」
「素直じゃないよな」
「余計なお世話だ」
「ガイは、お前が好きなんだよ」
「何を言い出す。あいつはお前を・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「ま、本人の口から聞かないとわかんねーか」
「聞けると思うのか」
「思わねーよ」
「ふん・・・・・・」
「あーあ。鈍感を好きになると大変だよなー」
「・・・・・・・・・・・・・そう、だな」




欲しいものはたった一つ。
特別な愛情。
入手困難な幻の品。


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