seepking indexへ text blog off link このぶつかり合い…格別だ!
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■ホワイトデー

「ガイラルディア!!こっち向け!!!」
妙に切羽詰った声で言われ、ガイはくるりと首を回した。
「どうしたんですへいか・・・・っ!?」
振り向いた瞬間、口の中に日常ではまったく感じることのない衝撃が走った。
一瞬息が詰まり、ごくりと何かを飲みこんでから初めて異物が口の中に飛んできたことを理解した。
結構な大きさと固さだった為にガイは違和感と苦しみで大きく咳き込む。その横で走ってきたせいで息の上がったピオニーが時計を眺めて頷いた。
「よし、ギリギリセーフだな。危なかった・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・陛下・・・」
ようやくしゃべれる状態になったがまだ片手で喉を押さえているガイがピオニーの肩を強くつかむ。
しかしそれに臆することなくピオニーは笑顔だ。
「味はどうだった?ガイラルディア」
「味わうどころか食べ物かすらわからずに飲みこみました。一体なんなんですか・・・」
「お返しだ」
「・・・・・・は?」
述語しか述べないかわりにカレンダーを指をさしてきた。
ガイはその方向を見る。
今日は3月15日。現在0時2分。異物が口に投げ込まれたのは3分前。
つまり3月14日。
「・・・ホワイトデー・・・・???」
「危うく間に合わないところだったから最終手段をとったんだ。こーゆーものは当日渡すから意味があるものなのだろう?」
もしかして自分が飲みこんだのは固さと大きさからしてキャンディーか何かだろうか。そういえばほんのり口の中に甘さが残っているような気がする。
じゃあ14日の間に渡したかったから口に投げ込んだのか?この人は。
・・・そんな馬鹿な。
「陛下・・・こーゆーものは気持ちの問題だと思います・・・こんなダメージを伴うお返しだと仇で返された気分になりますので・・・」
「そうか・・・?そんなもんか・・・?まあ、いい。ガイラルディア」
「なんです・・・・っん・・・ぐっ・・・・・!?」
突然口付けされたかと思ったら口に何かを押し込まれる。
それは口にかすかに残っていた味と同じもの。
ピオニーが離れてから口の中でそれをころころ転がす。
今度こそ、味わう。
「・・・これ、何味なんですか?」
「俺味」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吐き出していいですか?」
「駄目だ」
ピオニーはガイの前に回り込むと肩を押さえてまた口付けを落とす。
そして今度はガイの口からキャンディーを自分の口に戻すと満足そうに笑った。
「間接キスだな~」
「・・・・・・・・・・いえ、間接どころか直接すぎて他に言葉も浮かばないですよ・・・」
大きくため息をついてピオニーを見る。
その笑顔が凄く、嬉しそうで。
「・・・かないませんね・・・」
「?どうしたガイラルディア」
「いいえ、なんでもございませんピオニー陛下」
その笑顔につられて笑う。
たぶんこの表情が、どんな表情よりも欲しているもので。
・・・記念日でなくとも欲しい最大のプレゼントなのだ。



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