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■ハロウィン待機
こんな霊だ悪魔だが絡んでいるイベントを我が団長様が見逃すわけもなく、数日前から上り調子のテンションを維持するどころかフロンティアを越えた世界へ飛 ばしたハルヒは朝比奈さんと長門を連れて部室をあとにした。きっと菓子以外にも報酬を持って帰ってくるだろう。手段は脅迫だ。
部屋に残る俺と古泉はと言うと、菓子を渡す係。正確に言えば仮装する人間に紛れてやってくる人外の捕獲だ。拉致だ。
勿論待っても待っても人外どころか来客もない。実に平和なスクールライフだった。
「のどかですねぇ」
実にのどかそうに古泉が言う。のどかじゃくても相づちを返しそうだ。
「全くだ。これなら菓子調達組の方がマシかもしれないな」
何せ勝手に帰ることも出来ず、部屋で何かしようにも部屋にはハルヒが施した飾り付けと意味不明な魔法陣がある。俺たちは部屋の隅に追いやられているのだ。
「僕からでよろしければお菓子、差し上げますよ」
微笑んだ古泉の手にはかぼちゃ味のクッキー。
「菓子はいらん」
クッキーではなく手首を掴む。戸惑う古泉の顔に自分の顔を近付けた。
「だから悪戯させろ」
耳元で囁いてやると戸惑い顔は目を丸くした赤い顔に変わる。
そして伏し目がちに目を逸らして口を開いた。
「・・・夜まで、我慢してください・・・ハロウィンの陽気に誘われてやってきた狼男さん」
ああ、夜が楽しみだ。
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